近年、高齢者や障がい者、ひとり親世帯、外国人など、いわゆる「住宅確保要配慮者」への住まい支援の
重要性が高まっています。こうした背景のもと、各地で居住支援法人の活動が広がっています。
本記事では、不動産分野に特化した行政書士の立場から、「居住支援法人が宅建業免許(宅地建物取引業免許)
を取得するメリット」について、実務的な観点で詳しく解説します。
これから宅建業免許の取得を検討している居住支援法人様は、ぜひ参考にしてください。
●居住支援法人とは
居住支援法人とは、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への入居に関する情報提供、相談や見守り等の生活支援
などの居住支援を行うものとして、都道府県知事から指定を受けた法人をいいます。根拠法は住宅確保要配慮者
に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(いわゆる住宅セーフティネット法)です。
主な業務は以下のとおりです。
・登録住宅の入居者への家賃債務保証
・賃貸住宅への円滑な入居に係る情報提供、相談
・見守りなどの要配慮者への生活支援
・賃貸人への賃貸住宅の供給の促進に関する情報提供
・残置物処理等
しかし、ここで重要な問題があります。
●物件「紹介」と宅建業の境界線
居住支援法人の多くが直面するのが、「どこまでが適法な支援で、どこからが宅建業に該当するのか」という問題です。
宅建業とは、報酬を得て反復継続して不動産の売買・交換・賃貸の媒介を行うことをいいます。そして、これを業として
行うには、宅地建物取引業法に基づく免許が必要です。
例えば、以下の行為は宅建業に該当する可能性があります。
・オーナーと入居者希望者の間に入って契約条件を調整する
・重要事項説明に類する説明を行う
・契約締結を前提に物件をあっせんする
・成功報酬型で紹介料を受け取る
善意の支援活動であっても、実質的に「媒介」に該当すれば無免許営業となるリスクがあります。
●居住支援法人が宅建業免許を取得する5つのメリット
ここからは、実務上のメリットを具体的に解説します。
1.紹介から契約までワンストップ対応が可能
免許がない場合、以下のような分業体制になります。
・居住支援法人:相談、生活支援
・宅建業者:契約手続き
この場合、
・情報共有の手間
・責任の所在の曖昧化
・利用者の不安増大
といった課題が発生します。
宅建業免許を取得すれば、
1.相談
2.物件紹介
3.契約手続き
4.入居者支援
まで一貫して対応でき、利用者満足度が大きく向上します。
2.法的リスクを回避できる
支援活動が活発になるほど、「実質的な媒介行為」に近づく場面は増えます。宅建業免許を取得しておけば、
報酬を得た媒介も適法に行うことができ、無免許営業リスクを完全に回避できるとともに、事業拡大の足かせが
なくなります。
コンプライアンス体制を重視する法人ほど、免許取得の意義は大きいといえます。
3.オーナーからの信頼性が向上する
宅建業免許の取得には、
・専任の宅地建物取引士の設置
・営業保証金の供託または保証協会加入
・事務所要件の整備
など、一定のハードルがあります。
つまり、免許を持っているということ自体が「一定の審査をクリアした事業者」である証明になります。
居住支援の現場では、オーナー側の不安(滞納・トラブル・孤独死など)が大きな課題です。宅建業者としての
立場を持つことで、福祉団体という側面以外に「不動産実務の専門家」として対等に交渉できるようになります。
4.収益構造の安定化につながる
居住支援法人の中には、
・補助金
・委託事業
・寄付
に依存した運営となっている法人があります。
しかし、宅建業免許を取得すれば、適法に仲介手数料収入を得ることが可能になります。
特に、
・高齢者向け賃貸住宅
・セーフティネット住宅
・サブリース型支援モデル
などと組み合わせることで、持続可能な事業モデルを構築できます。
「福祉性」と「事業性」を両立させるうえで、宅建業免許取得は有効な選択肢になり得ます。
5.自治体・金融機関との連携が強化される
近年、自治体では居住支援協議会の設置や、住宅セーフティネット制度の強化が進んでいます。
宅建業者としての登録があることで、
・公営住宅の民間活用
・空き家対策事業
・生活困窮者支援施策
などへの参画がスムーズにいく可能性があります。
金融機関からの評価も向上し、事業融資の可能性も広がります。
●宅建業免許取得にあたっての実務上のポイント
実際に免許取得を検討する場合、以下の点が重要です。
・専任宅建士の確保
常勤性が厳しく審査されます。名義貸しは厳禁です。
・事務所要件
独立性が必要で、バーチャルオフィスは原則不可です。
・保証協会加入
営業保証金1,000万円の供託の代わりに、保証協会へ加入するケースが一般的です。
居住支援法人に限った話ではありませんが、既存事務所の構造が要件を満たさないケースも多く、
事前確認が極めて重要です。
●まとめ|居住支援法人こそ宅建業免許の取得を検討すべき
居住支援法人が宅建業免許を取得することは、単なる業務拡大ではありません。
それは、
・法的安定性の確保
・オーナーとの信頼構築
・収益基盤の強化
・支援の質の向上
を同時に実現する、戦略的な経営判断です。
不動産実務と法務の両面を理解したうえで準備を進めれば、取得自体は決して不可能ではありません。
●宅建業免許取得を検討している居住支援法人様へ
当事務所では、不動産売買・賃貸・管理から買取再販・競売入札実務まで幅広い実務経験を持ち、現場を知る
行政書士が、単なる免許取得の申請代行ではなく、開業後の業務運営やリスク対策まで見据えた実践的な
サポートの提供をすることを目的として、他業種からの宅建業免許取得をサポートさせて頂きます。
宅建業免許取得でお悩みがあったり、検討されている居住支援法人様は、大阪・難波のZERO行政書士事務所に
お気軽にご相談ください。
筆者
行政書士・宅地建物取引士
中原 健詞
重要性が高まっています。こうした背景のもと、各地で居住支援法人の活動が広がっています。
本記事では、不動産分野に特化した行政書士の立場から、「居住支援法人が宅建業免許(宅地建物取引業免許)
を取得するメリット」について、実務的な観点で詳しく解説します。
これから宅建業免許の取得を検討している居住支援法人様は、ぜひ参考にしてください。
●居住支援法人とは
居住支援法人とは、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への入居に関する情報提供、相談や見守り等の生活支援
などの居住支援を行うものとして、都道府県知事から指定を受けた法人をいいます。根拠法は住宅確保要配慮者
に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(いわゆる住宅セーフティネット法)です。
主な業務は以下のとおりです。
・登録住宅の入居者への家賃債務保証
・賃貸住宅への円滑な入居に係る情報提供、相談
・見守りなどの要配慮者への生活支援
・賃貸人への賃貸住宅の供給の促進に関する情報提供
・残置物処理等
しかし、ここで重要な問題があります。
●物件「紹介」と宅建業の境界線
居住支援法人の多くが直面するのが、「どこまでが適法な支援で、どこからが宅建業に該当するのか」という問題です。
宅建業とは、報酬を得て反復継続して不動産の売買・交換・賃貸の媒介を行うことをいいます。そして、これを業として
行うには、宅地建物取引業法に基づく免許が必要です。
例えば、以下の行為は宅建業に該当する可能性があります。
・オーナーと入居者希望者の間に入って契約条件を調整する
・重要事項説明に類する説明を行う
・契約締結を前提に物件をあっせんする
・成功報酬型で紹介料を受け取る
善意の支援活動であっても、実質的に「媒介」に該当すれば無免許営業となるリスクがあります。
●居住支援法人が宅建業免許を取得する5つのメリット
ここからは、実務上のメリットを具体的に解説します。
1.紹介から契約までワンストップ対応が可能
免許がない場合、以下のような分業体制になります。
・居住支援法人:相談、生活支援
・宅建業者:契約手続き
この場合、
・情報共有の手間
・責任の所在の曖昧化
・利用者の不安増大
といった課題が発生します。
宅建業免許を取得すれば、
1.相談
2.物件紹介
3.契約手続き
4.入居者支援
まで一貫して対応でき、利用者満足度が大きく向上します。
2.法的リスクを回避できる
支援活動が活発になるほど、「実質的な媒介行為」に近づく場面は増えます。宅建業免許を取得しておけば、
報酬を得た媒介も適法に行うことができ、無免許営業リスクを完全に回避できるとともに、事業拡大の足かせが
なくなります。
コンプライアンス体制を重視する法人ほど、免許取得の意義は大きいといえます。
3.オーナーからの信頼性が向上する
宅建業免許の取得には、
・専任の宅地建物取引士の設置
・営業保証金の供託または保証協会加入
・事務所要件の整備
など、一定のハードルがあります。
つまり、免許を持っているということ自体が「一定の審査をクリアした事業者」である証明になります。
居住支援の現場では、オーナー側の不安(滞納・トラブル・孤独死など)が大きな課題です。宅建業者としての
立場を持つことで、福祉団体という側面以外に「不動産実務の専門家」として対等に交渉できるようになります。
4.収益構造の安定化につながる
居住支援法人の中には、
・補助金
・委託事業
・寄付
に依存した運営となっている法人があります。
しかし、宅建業免許を取得すれば、適法に仲介手数料収入を得ることが可能になります。
特に、
・高齢者向け賃貸住宅
・セーフティネット住宅
・サブリース型支援モデル
などと組み合わせることで、持続可能な事業モデルを構築できます。
「福祉性」と「事業性」を両立させるうえで、宅建業免許取得は有効な選択肢になり得ます。
5.自治体・金融機関との連携が強化される
近年、自治体では居住支援協議会の設置や、住宅セーフティネット制度の強化が進んでいます。
宅建業者としての登録があることで、
・公営住宅の民間活用
・空き家対策事業
・生活困窮者支援施策
などへの参画がスムーズにいく可能性があります。
金融機関からの評価も向上し、事業融資の可能性も広がります。
●宅建業免許取得にあたっての実務上のポイント
実際に免許取得を検討する場合、以下の点が重要です。
・専任宅建士の確保
常勤性が厳しく審査されます。名義貸しは厳禁です。
・事務所要件
独立性が必要で、バーチャルオフィスは原則不可です。
・保証協会加入
営業保証金1,000万円の供託の代わりに、保証協会へ加入するケースが一般的です。
居住支援法人に限った話ではありませんが、既存事務所の構造が要件を満たさないケースも多く、
事前確認が極めて重要です。
●まとめ|居住支援法人こそ宅建業免許の取得を検討すべき
居住支援法人が宅建業免許を取得することは、単なる業務拡大ではありません。
それは、
・法的安定性の確保
・オーナーとの信頼構築
・収益基盤の強化
・支援の質の向上
を同時に実現する、戦略的な経営判断です。
不動産実務と法務の両面を理解したうえで準備を進めれば、取得自体は決して不可能ではありません。
●宅建業免許取得を検討している居住支援法人様へ
当事務所では、不動産売買・賃貸・管理から買取再販・競売入札実務まで幅広い実務経験を持ち、現場を知る
行政書士が、単なる免許取得の申請代行ではなく、開業後の業務運営やリスク対策まで見据えた実践的な
サポートの提供をすることを目的として、他業種からの宅建業免許取得をサポートさせて頂きます。
宅建業免許取得でお悩みがあったり、検討されている居住支援法人様は、大阪・難波のZERO行政書士事務所に
お気軽にご相談ください。
筆者
行政書士・宅地建物取引士
中原 健詞




